GPSなどの衛星信号に依存するデバイスを開発する場合、求められる処理の負荷に耐えられるようにする必要があります。デバイスが市場に投入される前に、実世界の要求を満たせることを確認するには、どうすればよいのでしょう?これには、GPSシミュレーターを使用して適切な試験を行う必要があります。

特に衛星がまだ打ち上げられていないサービスの場合、実際の信号を使えないため、実験室での試験が極めて重要となります。

衛星追跡は、GPS対応デバイスが正常に動作するうえで鍵を握ります。この点を試験できない場合、デバイスが市場に投入されるや否や大きな問題を引き起こす可能性があります。

詳細情報は次をクリックしてください。

GNSS/GPSシミュレーション:基本原則

GNSSは、Global Navigation Satellite System(グローバル衛星ナビゲーションシステム)の略称であり、世界中を網羅する衛星ナビゲーションシステムに対する標準的な呼称です。この名称は、GPS、GLONASS、Galileo、Beidou、その他の地域限定型の衛星ナビゲーションシステムをも網羅します。

IconGNSSの設立当初以来、ナビゲーションシステムを試験する際に2つの主要な手法が存在してきました。現場での試験と実験室でのシミュレーションです。今日、ベストプラクティスによると、ほとんどの試験は安全なラボにて管理され繰返し可能な状態で行われます。これにより、実際の性能と理論上の性能の両方に対する性能限界を含む、通常条件と異常条件の試験を共に実現できます。また、現在利用不可能か、もしくはコンステレーションが完全に揃っていないGNSSシステムのレシーバーも開発できます。

実世界における実の信号を用いた試験は、管理された試験を事実上不可能にする大幅な欠点を抱えています。実際のGNSSコンステレーションを用いた試験と比較し、GNSSシミュレーターでの試験のメリットが、以下の表にまとめられています。

実際のGNSSコンステレーションを
使用したライブ試験

コンステレーション信号は制御不能
環境条件は部分的に制御可能
繰返し不可能:条件は常に変化
FMやレーダーなどからの不慮の干渉あり
不慮の信号のマルチパスや不明瞭性あり
GNSSコンステレーションのエラーを伴う試験は不可能
高価な現場試験と車両を用いたトライアル
GNSSコンステレーションで利用可能な信号に限定
競合他社が現場試験を監視可能

GNSSシミュレーターを
使用したラボ試験

コンステレーション信号は完全に制御可能
環境条件は完全に制御可能
完全に繰返し可能
不慮の干渉信号は存在しない
不要な信号効果は存在しない
GNSSコンステレーションエラーを伴う試験シナリオを簡単に生成可能
ラボ内での安価な試験
現在と将来のGNSS信号を試験可能
安全なラボ内で試験を実施可能

GPSシミュレーター試験の実施

シミュレーターを用いてレシーバー試験を設定し実行することは比較的容易です。これは2つの段階に要約されます。

定義:定義段階では、シミュレーターの制御ソフトウェアを使用して必要な試験パラメーターが設定されます。この段階では、次の作業を行う必要があります。

  • 試験対象のレシーバーのアプリケーションと動作環境を理解する
  • 実行する試験を決定する
  • 適切な効果を伴う試験シナリオを定義する
  • 適切なRF条件*を維持するために、レシーバーをシミュレーターへ接続する方法を理解する

実行: 実行時間の段階では、シナリオが実行中であり、シミュレーターのハードウェアは要求されたRF信号を生成しています。この段階では、次の作業を行う必要があります。

  • 被試験レシーバーを観察し、必要に応じてシミュレーターを操作する。
  • レシーバーの性能を解析する。これはリアルタイムでも、記録データのポスト試験解析のいずれでも行えます。シミュレーションデータ(試験信号を生成するために使用されるデータ)へのアクセスは、データ配信からファイルへのログに至るまで、様々な方法で行えます。続いてこのデータを使用して、レシーバーの性能を「真」のシミュレーションデータを比較できます。

GPS RFシミュレーターとは

Satellite dishGPSシミュレーターは、GPSレシーバーとそれに依存するシステムを効果的かつ効率的に試験する方法を提供します。GPSシミュレーターは車両と衛星の動き、信号特性、大気やその他の要素をモデリングして、試験シナリオのパラメーターに基づきレシーバーが実際にナビゲートする動的なプラットフォームにおけるGPSレシーバーの環境をエミュレートします。GPSレシーバーは、実際のGPS衛星から受信するものと同一のシミュレートされた信号を処理します。

当社のGPSシミュレーターは、実際の環境にて実際のGPS信号を使用する方法よりも優れた試験条件を提供します。実信号試験と異なり、シミュレーターで試験することで、シミュレートされた衛星信号と環境条件を完全に制御できます。GPSシミュレーターを使用すれば、試験者は以下の要素を完全に制御しつつ、多くの異なる試験シナリオを多様な試験に対して簡単に生成して実行できます。

  • 日付、時刻、場所。 シミュレーターは、あらゆる場所や時刻のGPSコンステレーション信号を生成できます。世界中または宇宙空間のあらゆる場所にて、過去、現在、将来の様々な時刻を、ラボ内で全て試験できます。
  • 車両の動き。 シミュレーターは航空機、船舶、宇宙船、地上走行の車両など、GPSレシーバーを搭載する車両の動きをモデリングします。世界中あらゆる場所における様々な経路や軌跡に基づく車両の動きについてのシナリオを、試験対象の機器を移動させることなく試験できます。
  • 環境条件。 シミュレーターは、大気条件、不明瞭性、マルチパスの反射、アンテナの特性、干渉信号といった、GPSレシーバーの性能に影響する効果をモデリングします。こうした効果の様々な組み合わせやレベルは全て、同一の制御されたラボ環境にて試験できます。
  • 信号エラーと不正確さ。シミュレーターは、GPSコンステレーション信号の内容と特性を制御できます。試験は、各種のGPSコンステレーション信号エラーが発生した際の機器の挙動を決定する目的で実行できます。

シミュレーターを用いたGPS試験に関するeBookを是非ダウンロードください。

GPSシミュレーターを使用する理由

Cell Phone AntennaGPSといった完全に機能するGNSSを目指す場合、試験対象のレシーバーを適切なアンテナに接続し、アンテナを最寄りの窓や車両の天井、あるいは建物から突き出し、レシーバーが受信したGNSS信号を測位し、追跡してナビゲートできるかを確認だけで済む、と考えがちです。ある程度までは、その内容で十分です。本書にて「実信号」と呼ぶこの手法は、レシーバーの基礎的なRFと処理回路が基本的に動作していることを確かに検証できます。

しかし、当社は動作確認だけではなく、試験を目的としています。そのため、実信号試験は実際の世界における障害に対して無事に動作するかを簡単に確認するだけに留める必要があります。製品の企画、設計、開発、生産、統合にわたるライフサイクルにおけるいかなる試験としても依存することはできません。ただし、実世界の信号を試験する方が、実世界における障害や動作上の問題が存在する状態で性能を最も簡単に確認できる場合は存在します。記録と再生システムがGNSSシミュレーターの能力を補完し、実世界の環境を取得してラボで再生し、完全な「複雑さ」を再現できます。

ここで、こうした理由を裏付ける証拠を見てみましょう。

実信号試験にまつわる問題


実信号試験の際、いくつかの不明点が存在します。次の要素が挙げられます。


衛星のクロックエラーicon

長期的にはこうしたエラーはナビゲーションのメッセージと修正内容の放送によって対処されますが、このメッセージは頻繁に更新されないため、クロックエラーが修正されずに存在し続ける可能性があります。

シミュレーターのメリット: 衛星シミュレーターを用いれば、故意にエラーを導入しない限り、衛星クロックにエラーは存在しません。また、エラー内容を完全に把握し、指定されたタイミングで導入できます。


衛星の軌道エラーIcon

ナビゲーションのメッセージに記述された各衛星の位置は、軌道上の物理的な実際の位置とは異なります。これは、太陽、月、地球の引力の影響も相まっていくつかの軌道エラーが発生するためであり、衛星の位置変動を冗長する原因となります。

シミュレーターのメリット: シミュレーターを用いれば、軌道エラーを全て排除して「完璧」なコンステレーションを形成することも、完全に定量可能なエラーを制御された方法で導入することも可能です。


ナビゲーションデータのエラーicon

あらゆるデータ転送システムと同様に、変調、復調、転送プロセスの結果、データにエラーが発生する場合があります。システム内には、堅牢性が組み込まれています。例えばGPSシステムの場合、ナビゲーションメッセージの各ワードにおける最後の6ビットはパリティビットであり、ビットエラーの検出に使用されます。それでもエラーは発生し、対処されないままで終わります。

シミュレーターのメリット: シミュレーターを用いれば、故意に導入しない限り、ナビゲーションデータにエラーが発生することはありません。


大気エラーicon

GPS信号は複数の大気層を通過する必要があります。大気層は電離層と対流圏で主に構成されています。電離層(地表から70~1000kmの距離)における自由電子が、電子の密度に比例してGPS信号の変調を遅らせます(電離層を通過する速度はグループ速度と呼ばれます)。同じ条件により、RFキャリアの位相が同量に進められます。(電離層を通過する速度は位相速度と呼ばれます)

シミュレーターのメリット: シミュレーターを使用すれば、大気を気にすることなく、エラーを排除できます。また、エラーを既知のモデルに適用し、全ての影響に対処できます。


マルチパスIcon

GPS信号は直接波であり、光線と同等に見なされます。信号がRF反射性の表面に内面反射の限界角度未満の角度にて到達すると、多少の減衰を伴って反射されます。そのため、レシーバーは直接波のみならず、反射信号も取得することができます。レシーバーは2つの信号のどちらが真の直接波信号であるかを判定できないため、両方を使用し、そのため反射信号に含まれる遅延エラーを抱え込みます。

シミュレーターのメリット: シミュレーターを使用すればマルチパスを完全に排除するか、各種のマルチパスモデルを用いて信号へマルチパスを適用できます。この方法で、マルチパスは既知の管理された方法で適用でき、レシーバーの性能に対する影響を正確に解析し、適切な設計変更や緩和などが可能になります。実信号の場合、ある時点におけるマルチパス条件を定量化することは不可能なため、マルチパスが存在する場合にレシーバーの性能を解析して改善することはできません。


干渉icon

GPS信号は衛星から長距離を移動するため、レシーバーのアンテナに到達する時には非常に微弱となっています。このため、外部信号源からの干渉を受けやすくなります。干渉は故意に行われること(ジャミングやなりすましと呼ばれます)も、不慮に発生することもあり得ます。GPSの干渉に対する脆弱性は詳細に記録されており、これに関する解説は本ページの対象外となります。

干渉はレシーバーの測位計算にエラーをもたらすのみならず、ナビゲーションを完全に停止させてしまうこともあり得ます。実生信号の試験時に干渉が問題を引き起こす(そして、阻止できない)ことは明らかです。

シミュレーターのメリット: シミュレーターを用いる場合、そうした干渉は全く存在しませんが、必要であれば制御され繰返し可能な方法で干渉をシミュレートすることができます。ソースとレシーバーの近接さが原因で生じる干渉は、SpirentのGSS7765といった干渉シミュレーションシステムを使用して適用できます。

無料eBookをダウンロードください - GNSS信号に対する干渉の影響


再現性Icon

GPSレシーバーで試験を実行し、設計上の脆弱性が明らかになった場合、通常のプロセスでは改善用に設計を変更することになります。改善されたことを確認するため、全く同一の試験を繰り返す必要があります。実信号を使用した場合、元の試験と同一の条件にて後続の試験をレシーバーへ適用することは不可能です。

最も顕著な差異は、時間が経過して、レシーバーから観測可能なコンステレーションが完全に異なる点です。これらが、試験条件が繰り返せない原因となる要素です。その他の変動する特性として、大気の影響や衛星の性能が挙げられます。

そのため、実信号は設計を改善するための試験手法には適していません。

シミュレーターのメリット: コンステレーションのシミュレーターを使用すれば、試験シナリオを実行した場合、毎回生成される信号は同一です。シナリオは同一日の同一時刻に開始され、衛星の位置も、信号間の相対的な位相オフセットに至るまで、同一です。この方法で、毎回試験を実行する際にレシーバーに対して全く同一の信号で確実にシミュレートできます。


制御性Icon

総合的な試験を行う場合は、どんな場合でも試験条件を制限して正確に制御することが必須となります。設計やシステムのパラメーターの微調整には、試験条件を非常に狭い範囲で精密に変更することが頻繁に要求されます。

シミュレーターのメリット: 実信号の試験では、制御できる要素がほとんどありません。試験アンテナの物理的位置以外、何も管理できる要素は存在しません。時間を遡ったり、大気を無効にしたり、衛星の信号、エラー、データ、軌道を調整することはできません。これら全てのパラメーターを、完全に制御する必要があります。


精度Icon

AGPS RFコンステレーションシミュレーターは高精度の試験機器であり、適切にメンテナンスすれば性能を正確に指定して制御できます。シミュレーターの信号精度は実際のGPSシステムの信号よりはるかに優れており、レシーバーの真の「実験室」性能を詳細に試験できるのみならず、シミュレーターに起因する信号ノイズはサーマルノイズよりはるかに低く抑えられ、試験に対してノイズエラーを発生しません。

シミュレーターのメリット: 精度に深く関わる2つのパラメーターに、品質と信頼性が挙げられます。シミュレーターの設計と構築に用いられる高精度のエンジニアリングと、こうした基準を保持するための品質保証プロセスを通じて、機器は長年にわたって信頼できる動作を発揮できます。


記録と再生システムも役に立ちますIcon

レシーバー性能を徹底的に評価することで、前述の障害を引き起こすこうした各種の原因の影響が評価できます。この試験を実行する新たなテクニックとして、RF信号を記録して後にラボで再生する方法があります。

シミュレーターのメリット: シミュレーションを通じて、不具合の個別原因を自由に追加または削除して試験環境を完全に制御できます。シミュレーションを用いれば、宇宙空間からまだ到来しない信号から車両の極端な動きに至るまで、非常に高価であるか実施が難しい評価を行えます。数式モデルから導出された合成信号の生成が、究極の制御を実現します。


商業上の実現可能性Icon

採算の見通しが確実に立たなければ、いかなるプロジェクトも継続できません。プロジェクトを管理して予算を設定する方々は、そのことを念頭に入れる必要があります。シミュレーションは、繊細なプラットフォームでの動きが激しいアプリケーションにおいてのみ、実際の現場でのトライアルよりも費用を節約できる、と誤解されがちです。例えば、動作試験のためだけに宇宙空間に対応したレシーバーを軌道に乗せる方法はないことは非常に明白です。しかし、あまり知られていないのは、要求されるレベルがずっと低いアプリケーションでもシミュレーションの方がより低コストで済むという事実です。数か月の実車試験の費用でシミュレーターを購入でき、多くの場合、実際の現場でのトライアルに取って代わられます。

シミュレーターのメリット: A欧州における一流の自動車会社が実車試験の合計コストを試算したところ、1日当たり5,000ポンドの単位に達しました。実世界の試験にまつわる前述の問題を抜きにしても、コスト低減効果だけで、シミュレーションの威力を実証するに十分です。

実信号がブランドを傷つける理由

GPSシミュレーションの手法

An RF Constellation SiRFコンステレーションシミュレーターは車両と衛星の動き、信号特性、気候やその他の要素をモデリングして、試験シナリオのパラメーターに基づきレシーバーがシミュレーターのRF信号を使用して実際にナビゲートする動的なプラットフォームにおけるGPSレシーバーの環境を再現します。シミュレーターは、実世界の信号を完全に再現できる魔法の玉手箱ではありません。しかし、これは全く欠点ではなく、それどころか重要な長所となります。RF設計技術者が制御され定量化された試験信号を真に必要とする場合、ランダムノイズ生成器を使用しないのと同じ理由で、GPSレシーバーの試験担当者は制御され繰返し可能なシミュレートされたGPS試験信号を真に必要とする場合、ランダムな実世界の信号を再生するデバイスを使用することはありません。

レシーバーの性能は、RF信号に適用されるエラーと効果の程度に応じて変化します。図1は、一般的なシミュレーターにおいて、最終的なRF出力に至るまでに各種の効果が追加された信号のフローを示します。そこから複雑な生成されたRF信号が試験対象のレシーバーへ出力されます。この原則は全てのシミュレーターに適用され、効果の数はシミュレーターの能力と意図されたアプリケーションに依存します。

GNSS RF Constellation Simulator

図2は一般的なセットアップをより詳細に示します。A Spirent GSS6700 シミュレーター が示されています。レシーバーの位置速度と時刻データ(通常はNMEA 0183形式)はシミュレーターの制御ソフトウェアへフィードバックされ、シミュレートされた「真」のデータと比較されます。これにより、シミュレーターの信号における既知の特性に比較してレシーバーの性能を非常に高精度で測定できます。

Simulation test set-up

GPSレシーバー試験に適した製品

GSS7000マルチGNSS、マルチ周波数シミュレーターシリーズ

GNSS試験用の柔軟なシステムであるGSS7000は、GPS/SBAS/QZSS、GLONASS、Galileo、BeiDou-2信号のいかなる組み合わせにも対応し、4つの周波数帯にまたがり最大256チャンネルを提供します

詳細を見る →

詳細を見る →

GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou-2 QZSS、SBAS用の信号とコードを全て備えた、研究開発時の試験用の高性能マルチ周波数RFシミュレーターです


詳細を見る →

シミュレーターを用いたGPSの試験

GPS対応デバイスの試験に用いることが可能な様々な手法について、詳細をご覧ください。

eBookをダウンロードする →

GNSS試験のガイド

この包括的なeBookを通じて、GNSS試験計画を構築する方法を学べます。

eBookをダウンロードする →

GPSレシーバー試験とは

GPSレシーバー試験の紹介をご覧ください。

詳細を見る →

あなたのビジネスに合う製品をお探しですか?

お問い合わせ →